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生産について生産資源の劣化や環境面からの制約等から、従来の同様の増加が見込まれるということはなかなか不透明であると私どもは考えています。
このようなことを考えますと、食料が逼迫する可能性も十分に考える必要があるのではないでしょうか。特にアジアの食料安全保障を十分なものとすることを考えた場合に、国民に対する食料需要の安定供給の確保は、いずれの国においても政府の基本的な責任の1つです。アジアの食料安全保障を考えるにあたっては、低所得地域を中心とする飢餓や栄養不良の根絶はもちろんのこと、人口増や経済成長による食料の需給のダイナミックな変化に対応しながらいかに食料の安定供給をはかっていくかが重要な課題になるのではないでしょうか。
そのためには輸出国、あるいは日本のような先進輸入国、経済発展の著しい発展途上国、低所得国、各国の立場に応じた食料安全保障が重要になってくると考えられます。
現在、アフリカを中心とした飢餓と栄養不良が注目されていますが、依然としてアジアにおいても、多くの栄養不足人口が存在し、さらに経済発展の著しい発展途上国や食料輸入国が集中しているこの地域に存在していることを考えれば、FAOの食料サミットにおいてはよりグローバルな視点をおいて考えていく必要があるのではなかろうかと思うわけです。
また、食料安全保障の達成のためには、持続可能な農業生産を通じた国内生産の維持と合わせて、貧困層の食料獲得手段としての所得確保の面からもアプローチしていく必要がある。この問題につきましては今、WTOで輸入輸出の問題だけで食料を考えるということだけではなく、食料安全保障や、雇用の創出の観点から、食料の問題をしっかりと考えなければならない面があるのではないでしょうか。
このような食料安全保障を実現する上で必要となる様々な要素を考慮に入れ、この会議においても国会議員として、何かアピールする必要があると考えます。特にアジア諸国が国内生産を維持拡大し、農村発展を推進するためには、各国の自助勢力を支援するという観点が、わが国においても重要であると考えていますので、先生方のいろいろなご意見を承りたいと考えています。

 

シフ・カレー:(司会)
今、過剰国と不足国というものが、別々の立場で問題を考えているという形が非常に強いわけですが、それだけに、このような観点からの共同で一致した提言ができると心強く、力強いものになるのではないかと思っています。

 

マルガリータ・テベス議員(フィリピン)
インドの持続可能な食料生産について、チャッダー先生にお倒したいと思います。

 

 

 

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